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ROLL OVER Magazine vol.3【HAIGAN】


2019.7.18@東高円寺二万電圧

ROLL OVER Magazine Vol.3は、都内を主に活動中のインプログラインドコアバンド・HAIGAN(ハイガン)の皆様に7/18@東高円寺 二万電圧にてお話を聞いてきました!

ツインボーカル(または3ボーカル) 、ツインギター、 エレクトロニクス、サックス、トランペット、グラインドハードコアを主軸にした即興(インプロ)というスタイルであり、その中に電子音やフリージャズの要素も織り込まれた東京のハードコアノイズ集団HAIGAN。 ライブ毎のメンバー編成も不定形に近い自由すぎる形態。

今回は果たして、どんなお話が聞けるんでしょうか。


男性Vo. *BO)))B男 _ 以下→ B 

女性Vo. 卍子 _ 以下→ 卍

電子音+Vo. JOHN _ 以下→ J

Bass. タツオ _ 以下→ T

Guitar. キドウラ _ 以下→ K

Drums. MOTSU.A _ 以下→ M



音楽ルーツについて

-まず、それぞれの音楽ルーツについて教えて頂けますか??


T:Aerosmithだね。1977年の初来日観に行ったよ。4枚目のロックスのツアー。その後はパンクの衝撃にブチのめされて…なんてねw


-1977って年代がそうですよね。Aerosmithの4th以降は世界的にパンクの流れになりましたね。


B:自分の中で生涯消えないであろう刻み込まれた音楽としては幼少期に休日の家族ドライブのカーオーディオで流れていたCarpentersとABBA。あと寺尾聰ですね。HAIGANをやる上で自分の中でのコアな要素に近いパンクロックは中学生の時は苦手でした。SEX PISTOLSを最初聴いた時に拒否反応が出て翌日学校を休んだけど(39度の熱が出た)悪友がダビングしてくれたTHE STALINのカセットを聴いて物凄い衝撃を受けました。日本語のパンクロックに非常に感動してから段々パンクが好きになり、のめり込んでいきました。もちろんピストルズも大好きになりました。からのDischarge→Napalm Deathですね。


-THE STALINはやっぱりSTOP JAP? 


B:うん。STOP JAP。決定打。最高。めちゃくちゃ聴いた。Laughin’Noseにもハマって高校生の時はコピーバンドでドラムもやっていました。


J:The Beach Boysですね。あと大滝詠一。大滝詠一は今でもバリバリ聴きます。


-なるほど…。(凄まじく意外…)


K:俺はやっぱりメタル、スラッシュメタル ゲスね。別バンドでフリージャズや、ノイズもやってはいるけど、実はジャズやノイズはルーツとしては通ってないゲス。


M:僕もやっぱりメタル、グラインドですね。元々を、辿ればゲーム音楽(ロックマン)のBGMが好きでロックになっていったんですけど(笑)


卍:あたしは特になにもないんだよね。音楽自体別に興味ないし。キディ~サラダ煎餅ちょうだい。

※キディはGuitar.キドウラの愛称。


-えーっ!? そうなんですか!? 笑 

例えば…なにか影響受けたボーカリストとかパフォーマーとかはいないんですか?


卍:うーん。音楽的ルーツというのは本当に特に無くて強いて言えばオノ・ヨーコが参加していた芸術集団フルクサスとかの方が自分の中で大きい。オノ・ヨーコはボーカリストとしてだけでなく、芸術方面にルーツがあって音楽性云々というより発想がパンクな人?そんなアート性にすごい影響を受けたかな。(サラダ煎餅をサクサク頬張る)




活動歴について

-それぞれの皆様のHAIGANとしての活動歴を教えてください。


B:話し出すとかなり長くなるので割愛しますが、元々自分はパートがドラムだったんです(笑)  結構長い期間。結成初期はブラストビートを叩くとひたすら絶叫しまくる不動明王の入れ墨が入ったクールな沖縄人TMT(vo)がいて彼がこのバンドを立ち上げ、バンド命名もしました。最初は普通に漢字で『肺癌』だったのですがシャレにならないくらい縁起が悪い事続発だったので『HAIGAN』としました。今は気に入っています。


-筆者は現行のHAIGANしか知らないので、かなり意外ですね!

-他の皆様はどうですか?


卍:2,3年くらい? キディ、サラダ煎餅!


K:3,4年くらいになるのかな?


T:2年くらい。JOHN(J)と同時に加入したんだよね。


M:3年ほどです。以前やっていたバンドで*BO)))B男(B)さんと知り合ってから加入ですね。


-皆様それぞれバラバラなんですね…。

-グラインドバンドとしては、JOHN君(J)のエレクトロニクスが入ったりサックスのくぅたさん、トランペットのKO.DO.NAさん(※お二人は本日は不在)が加入されているのは非常に珍しいんですが、 この形態にはどういう経緯があって今のスタイルに至るんでしょうか?


卍:サックスのくぅたさんはトランペットのKO.DO.NAさんが連れて来たんだよね?

わあ!サラダ煎餅サンキュー!


B:そうそう。元々KO.DO.NAさんがHAIGANに加入を希望していて、その流れで彼の知人だったくぅたさんも加入となりました。ウチのバンドに興味を持ってくれたのは非常に嬉しかったです。


-管楽器のお二人はそういう経緯だったんですねぇ。

(ノイズ+管楽器…ふとジョン・ゾーンを思い出した)





演奏、パフォーマンスについて

-インプロ、グラインドに更に管楽器が入りフリージャズ的な要素も感じる部分はあるんですが、演奏部分で何か意識されてる事はありますか?


K:瞬間的にいかに楽しませるかゲスね。ギターに関しては音の多さよりも密度、濃さを重点においているゲス。あとはディレイ。これは本当に重要。自身の"音"を聴くっていうか。


-密度、濃さ。ギタリストならではの視点ですね。

あ、ちなみにパフォーマンス部分でいうと演奏中にお菓子をお客さんにばらまいたり、演奏を放棄する事がありますが(笑) あれは何か考えがあっての事ですか?


K:あはは(笑)  まあ、特別深い意味はないゲスよ。 要はパフォーマンス?フロアの皆がそれで楽しんでくれればいいゲスね。エンターテインメントていうの?


-そういう意味では渋さ知らズとかも解釈は同じかと思いますが?


J:僕は演奏、パフォーマンス部分では別に意識してる部分はないかな。


-特にない??(笑笑)


J:うん。ないかな。とにかくHAIGANとしてもお客さんも、メンバーも『わっしょい!! わっしょい!!』できて楽しければそれでIt’s OK?かな?(笑)


-あ、はい(笑)

つまり、わっしょい笑 皆で楽しもうぜーー!!!!て事ですね!うん、それ正解!(笑)

(余談ですが、いつもHAIGANのライブで筆者がダイブする時サポートしてくれるJOHN君 どうもサンクスです (笑))


M:僕はとにかくドラムとしての軸にあるのがブラストなんです。演奏する上で意識している事はライブ=自分の中の1枚の架空のアルバム、CDを演奏するような…。即興、グラインドという意味では、やっぱりミック・ハリス、NAPALM DEATH、PAINKILLER、AxCxなんかをなんとなく意識していますね。


-(…ライブの中で自分の中で架空のアルバムを演奏しきる意識、感覚これはなかなか深い。)


卍:加入前に初めてHAIGANを見た時、音が折角カッコ良いのにとっつきにくい印象が勿体無いな…と思ったのとメンバーが男だらけなので常にポップさを足せたらと思って今に至ります。衣装も含め女性でしか成立しないパフォーマンスをやって行きたい。一応、ツインボーカルという事になっているけど、あたしはあくまで合いの手やコーラス?等のサブ的な立ち位置を意識してやっています。ライブ後は身に覚えの無い痣や怪我がいっぱいあって驚く事が結構ある(笑) サクサク…(サラダ煎餅を頬張る)


-おお…卍子さん、ちょっと意外でした。

ボーカルとしての強固な意識があると思っていたのですが”サポート役”…ですか…。でも女性らしさは納得です(笑) いつも変わった感じのワンピースや囚人服?だったり大抵は”黒の下着姿”ですもんね(笑) 


卍:そうそう 。あとは他のメンバー任せ(笑) 

しいて言えば 一回ピンでボーカルした事あるんだけど、もう二度とイヤ!! 一人はもう絶対やりたくない!!(笑→号泣) キディ…サラダ煎餅…ありがとう… 


-そんなにトラウマだったんですか…

無言でうずくまって鼻水をジュルジュルすすりながらサラダ煎餅を貪り食べる卍子


-たつおさんは、演奏部分に関していかがですか?


T:そうだね~できるかぎりドラムの音を拾って曲っぽくなるように弾いてる。なんてねw


-たつおさんのベースはUKハードコアの流れも感じ、グルーブ感ともに大好きなリフなんですがベース、ベーシストとして意識している部分はありますか?


T:"疾走感”かな。HAIGANではDischargeみたいなウネウネしたベース弾くようにしてるよ。なんてねw


-筆者がHAIGANのライブを見ていて、インプロであるが故に後の展開という所でメンバー間に一瞬の迷いが見える瞬間がありますが、その時に先陣を行くのがたつおさんのベースですよね。先手を切るみたいな。


T:うん。それがベーシストとしての役割かと。ベーシストである以上、HAIGAN…じゃなくてもバンドとしてのベースである以上"軸"でありたいかな。なんてなw


-昨年2018リリースされた1stフルアルバムの中ではさりげなく、モーターヘッドのリフをこっそり弾いてますがあれはどうされたんですか?


T:4時間もスタジオ居たらさぁ…飽きて来てなんとなく弾いちゃっただけなんど採用された(笑)。特に誰もついて来なかったけど。なんてねw


-笑笑笑


B:自分はただ、単純にハードコアやグラインドコア、デスメタルが好きだから。このバンドはハードコアなビート(*Dビート贔屓)やブラストビートを基本としています。いや~ぶっちゃけこんなバンドによく管楽器が入ってきてくれたなと。かなり奇跡だと思っています。

*=イギリスのハードコアバンドDischargeが生み出したと言われているビート。EP『Realities Of War』や『Fight Back』等で使用されている独特なビートでハードコアのみならず現在の様々なエクストリームミュージックでもデフォルトな勢いで多用されている。


-*BO)))B男さんのボーカル、キーの使い方、音程の取り方等、非常にバランスもよくかっこいいですが、なにかボーカルの部分で意識されている事はありますか?


B:ありがとうございます。国内外のエクストリームバンドのクールなデスボーカリスト達への憧れがモチベーションに繋がっていると思います。低い声のデスボイスはできるだけ力まないように心がけていますね。あとは”自身の声を受け入れる”事でしょうか。“自分はこんな声なんだ”って理解を深める事はかなり重要だと思っています。HAIGANのライブは必ず録音はするように心掛けていてバンド全体の音は勿論、自分のボーカルの確認もしています。毎回発見があって面白いです。自分関連のバンドではHAIGANの録音が一番面白いかな。





音楽シーンについて

-現在の音楽シーンについてどう感じていますか?


M:デジタル配信やストリーミングサービスについて、僕はどうしてもCDやフィジカルで欲しいと思ってしまうけど否定はしません。そういったもののおかげで埋もれていたバンドが再評価されたりしますし、今の若い子は凄く音楽に詳しくなっている。それはいいことです。でもレコードやCD、カセットは一生なくならない。この文化はなくならないと思う。アンダーグラウンドのメタルやグラインドのレーベルの中には配信を一切しないレーベルもありますから。


B:ネット文化はこれからも更に進化・激化していくでしょう。小,中学生くらいの年齢でもITに明るい子はネットを大いに利用していろんな情報を得たり吸収しつつ(※自分よりも音楽/文化に詳しい若い子が本当に沢山いて驚かされる日々です)自作で音を作りSNSにアップして海外のレーベルから音源リリースのオファーが来るという事も普通にあるご時世。そんなアーティストがこれからもっといっぱい出てきて、自分の考え、発想からはまったく想像できない面白い才能の人たちが思う存分活躍する事を願うと同時に自分より古い世代の音楽/文化もいっぱい触れて楽しんで理解を深めてくれたらいいなと思います。これは自分に対してでもあるのですが。音源作品の解釈も~こうあるべきという事がいっぱい出てくるとは思うけど自論を他人に押し付けなければ純粋に自分の感覚で楽しんでいいと思います。レコードやカセットーテープの再評価が高い事も嬉しいし、そいうのってやはり普遍な魅力あってのもの。自分はあっさりした方だとは思うのですが、それでも”素直に音楽を聴く感動”をこれからも大事にできたらと思うし、そうありたいと思っています。

音をやる上でのオリジナリティーも確かに大切ですが、それ以前に自分が”何をやりたくてどうしてこの表現なのか?”という事を日々突き詰めつつも所詮は既存の物の真似の域を出ていない事が当たり前でずっとこんな事の繰り返しでも、自分に感動やモチベーションを与えてくれた物たちにこれかれも敬意を表しつつどんどん触れてパクって消化して昇華できたらと思っています。

J:今、自分達はアンダーグラウンドと呼ばれるシーンにいるので、アンダーグラウンドがオーバーグランドにこの先なっていければと思う。そういう垣根がなくなりクロスオーバーできる日が来て欲しい。


K:特別深い考えはなく皆で楽しめる環境を形成出来ればいいんじゃないいかなと思うゲス。アンダーグラウンドとか関係なく一般も関係なくね。


卍:キディ、サラダ煎餅ないの?


-地下アイドル、路上、打ち込み…東京の音楽シーンは幅広く全てに目を当てる事は不可能ですからね…。


T:俺はね、いわゆる世間一般の主流なモノのことだったら知らないし興味もないなぁ。自分が関わってるコトだったら、年々深みにハマってて、これ以上ディープなモノあんのか?ってところまで来たつもりだったけど、次から次へと未知のモノが現れる。まだまだ底は見えないっすね。世に出しちゃダメな音楽って絶対あると思う。自分もそれでいい。なんてねw


-確かに "アンダーグラウンド " というカテゴリだけで一括りにされている感はありますね。

ただ、筆者が思うに、本当に音楽が好きなのであれば、よりもっと深く深く、地下の最深部まで掘っていき、よりディープで未知のモノを探求していくのが当たり前だと思うんですね。たつおさんのより深く濃く、新しい音楽に目を向ける姿勢はプレイヤー、リスナーという概念を抜きにして純粋に音楽に携わるという点でも素晴らしい要素なんじゃないかと思います!




今後の活動展開

-今後の活動展開についてなにか考えていますか?


M:自分はリーダーの*BO)))B男さんに任せきりなので、そこまで大きな事は言えないですね。


T:今、大阪、京都 関西方面からのオファーがすごくきているので、メンバーの時間日程が合えば是非一度 HAIGANとしての遠征に行ってみたいね!


B:なかなか都合が難しい事が多く本気でなんとかしないといけない状態なのですが、ひとまず関西や東北など是非行ってみたいですね。グラインド界隈は勿論、我々に感心を示してくれた方々のシーンなどありがたく顔を出したい所存です。よろしくお願いします。


J:やっぱり海外進出ですかね!! 夢は大きく!!!!(笑)


卍:音楽好きとか一切関係ない、ライブハウスではない場所でライブしてみたいな。例えば…健康ランドとか(笑) キディ、煎餅ある? 


K:アンダーグラウンドシーンとか関係なく 今の日本の音楽シーンについての核になりたいゲス。起爆剤になる様な。そんな存在になっていきたいゲスね。卍子さん最後の一枚でゲス(サラダ煎餅を渡す)。


-小耳に挟んだんですが、インプロではなくオリジナルの楽曲として現在スタジオ内で検討中との事ですが、本当ですか?


B:そうですね。結成8年にしてようやく”曲を作る案”が浮上しました(笑) スタジオに入っていろんな曲の卵たち?が生まれています。なのでまだ仮の段階。カバーも検討中ですが、、実は現実問題かなり困難なのです。ライブになると暴走してみんな吹っ飛んじゃうので(笑)





メンバーそれぞれが全く異なるパーソナリティと音楽ルーツを併せ持ち、不思議な縁で集まった個性的なノイズバンドHAIGAN。ひたすらノイズに特化した二名のスカム寄りのグラインドコア・ユニットから始まったこのバンドも今やサックス、トランペット、DJ、謎のパフォーマーなども加わって編成の最長人数は12人にも及ぶという。まさにアンダーグラウンドという枠を越えた新型フリースタイル東京現代音楽集団と言えるのではないだろうか?”現代の東京版CRASS”といっても過言ではないと筆者は思う。 今後はどんなメンバーが加わりどんな編成/形態になっていくのだろうか。

是非一度はHAIGANの音の洪水を浴びて圧倒されてみてほしい。そしてできれば怖がらずに皆でマイクリレーやモッシュ&ダイブしたり一体感を味わって楽しんで欲しいと思う。それと各プレイヤーの演奏にもしっかりと耳を傾けて欲しい。いかに素晴らしい演奏能力を持つ集団か理解出来ると思う。

本日ライブ終演後、お疲れのところ快くインタビューに協力頂いたHAIGANの皆様には改めて感謝致します。ありがとうございました!!!!


HIGAN Live Schedule

2019.8.17@落合Soup

2019.8.19@四谷OUTBREAK

2019.8.22@西永福JAM





インタビュアー:にゃんぱらり

監修:HAIGAN

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